物語 narrative
宮坂研究室では、「人間存在や社会を物語として捉えること」を大きなテーマとして研究開発を行っています。これに関連する刊行物などをご紹介します。
『対話と承認のケア:ナラティヴが生み出す世界』
本書について
「ナラティヴ」は、ケアと対話の関係に、新しい可能性を切りひらく力をもっています。それは、対話自体がケアになるという可能性です。本書では、この可能性を考えるために、「ナラティヴ」を使って、ケアする人とされる人の二者関係を掘り下げていきます。ナラティヴ(物語)について書かれた書物はたくさんありますが、本書がそれらの書物とどう違うのかといえば、この「ケアする人とされる人の二者関係」を、最初から最後まで軸に据えていることです。(続きを読む)第15回日本医学哲学・倫理学会 学会賞を受賞しました(2021年11月29日)
同学会より、以下の理由により対象書籍として推薦され授与が決定したことをご連絡いただきました。「本書は、ナラティヴに関する多様な議論と実践を、歴史や哲学の議論を踏まえて、明快に論じられた好著である。「実在論」と「構築論」という切り口で独自の仕方で論点を整理され、ナラティヴがケアとして成⽴する根拠と対話実践への協働の姿勢が求められることを、説得性をもって論じられていた。著者が⽴てた仮説、そして問いに対して、各章で丁寧に応じられており、構成の一貫性、及び示唆に富んだ考察が高く評価された。」 同じ領域の研究者の皆様からご評価いただけたことを大変嬉しくまた光栄に存じます。さらなる研究に邁進していきたいと思います。ありがとうございました。
リースマン『ナラティヴ研究法』
本書について
本書は、ボストン大学教授のキャサリン・K・リースマンによる「ナラティヴ分析」についての本格的な入門書です。ナラティヴ研究はその対象や方法がきわめて多様であるがゆえに、これまでの研究者は、これらを系統的に分類すること自体にほとんど取り組んできませんでした。リースマンは、構造分析、テーマ分析、会話/パフォーマンス分析、ヴィジュアル分析という分類を示して、それぞれの分析法の「模範例」として数多くの研究例を紹介しています。シンプルな分類と、ヴィヴィッドな研究例の例示が本書の最大の強みです。(本書についての詳細はこちら)